忍者ブログ
UNDER THE BRIDGE DIARY Since 2007 11/29 ~堕落した人間の生活とお手紙・コメントへのお返事~
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


  「よっ!今日子さーん。お元気~?」

  「きゃっ!!加賀君!!………なにが’お元気~’よ。…この状態がお元気に見えて?」

今日子のデスクには書類の山が築かれ、
入口からは今日子の姿を確認することはできない。
だから加賀は集中し入ってきたことにすら気がつかない今日子の
背後に廻りこみいきなり大きな声で声をかけた。
今日子とすれば集中していたところに水を差されたのだ、
もともと悪い機嫌が更に悪くなったのも仕方がない。
しかし加賀はそんな今日子の睨みをかわし、目の前に手土産を差し出した。

  「西瓜?」

  「そう、西瓜。」

  「どうして?」

  「ま、食べようぜ」

上半期の決算が終わり、下半期始めの今月は色々と考えることが多く、仕事も多い。
なにより月末は雑多な仕事も増え、加賀とのんびり休んでいる暇なんてない。
はっきり言って今日子は煮詰まっていて、ストレスフルの状態であった。

今日子は加賀の差し入れを後で食べるから冷蔵庫に入れてもらうわと秘書に声をかけたが、
入ってきた秘書に向かって加賀は
「今日子さんが今直ぐに食べたいって。食べやすく一口大にお願い!」と言って
西瓜を渡しそのまま部屋の外へ誘導してしまった。
秘書が出て行ったあと、部屋に残された今日子は
加賀にずずいと近づき加賀の真っ黒い瞳を睨みつけた。

  「ちょっと加賀君!!」

  「ん?」

  「ん?じゃないわよ!なに勝手に…」

  「冷えてんだって。」

  「だったらいいじゃない、そのまま冷やしておけ…ちょ…加賀君!…!」

今日子の抗議を無視して加賀がいきなり今日子の唇に貪りつく。
甘い優しいものではなく荒い獣のようなキスだった。
しばらくもがいていたがどうにか加賀の唇を引き離し、加賀を睨みつける。

  「人の話をちゃんと聞きなさい!!」

  「今日子さんだってちゃんと聞いてんのかよ」
  
なにがかと問いかけようとすると加賀はまたキスをした。
今度は唇を合わせるだけの軽いキス。
いまいち意味が分からない今日子は加賀に意味を問う。

  「だから」

  「だから何よ」

  「冷えてんだって」

  「聞いてるわよ。そうじゃなくて!」

  「俺たちが」

  「え…?」

  「忙しくて顔はおろか声も聞いてないって俺たち。」

  「そんなことないわよ。私だって…」

  「なんだよ」

  「加賀君に会いたかったわよ……。」

  「でも忙しんだろ?」

  「……うん……」

  「だから西瓜持って会いに来た。それじゃ理由になんねーか?」

  「西瓜食っている間くらい俺とのんびりしよーぜ。」

そう言いながら今日子の身体を優しく抱きしめる。
冷房が利いているこの部屋はかなり涼しいが二人を包む空気は暖かく感じた。

しばらくして足音が近づいてきた。
秘書が一口大に西瓜を用意してきたのであろう。
二人は名残惜しそうに身体を離した。




本当に西瓜を食べると加賀は帰って行った。
加賀の持ってきた西瓜は甘みが強いがさっぱりしていた。
まるで自分たちようだわ、
そう今日子は思いデスクに向かったが先程のようないらだちはさっぱりと消えていた。

FIN


長いな…orz




  



PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック