－今日子ちゃんは大きくなったら何になりたい？－

弁護士さん？
お医者さん？
学校の先生？
アオイの社長さん？

・・・・・・それともお嫁さん？



物心着く前から社交界に出入りしていた私は、
大人の世界がそれとなく分かっていた。

きらびやかな衣装を身に纏い、
醜い心を覆い隠して、いや、
それで武装してたくさんの敵と戦う。

きっと、自分も同じようになるのであろうと。
自分は、まだ見ぬ誰かと結婚して、子どもを産み、
アオイの一部になるのだろう。

それならば、同じアオイのパーツになるならば、
私はそれらを動かす部品がいい。
エンジンを動かすためのキーになりたい。
すべてを動かすキーとなりたい。



そして、それとは別にもうひとつ。

いつか私にも白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるだろうか？
私をどこかに連れ去って幸せにしてくれる王子様。
アオイから私を連れ去ってくれる、そんな人がいるのだろうか？
そんな人がいたとしても私はその人についていけるのだろうか？


自問自答をしているうちにもう一度聞かれた。



－今日子ちゃんは大きくなったら何になりたい？－


わたしはおおきくなったらあおいのためになることをしたいとおもいます。


そう言ってにっこりと微笑むと聞いた人が喜ぶからそう答える。
でも本当は・・・？本当は？





ＦＩＮ

あとがき：実年齢で行くと難しいお年頃ですよね。
夢を見たい反面、自分がするべき役割も分かっている。
きっとお誕生パーティーとか開かれて、
このころから軽いお見合いになっているのでしょう。
自分の今後に一人悩む今日子ちゃんです。